MY LIFE

たまごが余計なベーコンエッグの話

 1.5kgほどの豚肉のかたまりから丁寧に手作りされた大きなベーコン3本。凍ったその、ながーいかたまりのうちの1本を冷蔵庫で自然解凍した。

 ながーいのでまず3等分にし、かなり分厚く贅沢なひとくち大と、スープ用にそれを薄く切ったものと、ハウルの映画に出てくるようなちょっと分厚いスライスベーコンができた。切っているそばから香ばしいような旨みのいい薫り。そのまま食べてしまうのを何度もこらえて、スライス2枚以外を冷蔵庫にしまった。

卵焼き用長四角のちいさなフライパンをガスコンロで熱し、スライスしたベーコン2枚を真ん中に置く。じゅー。ひとくちで食べられるような小さい新じゃがいもを2個洗って、皮ごとそのフライパンの真上でちいさめに切っては落とし、ベーコンから染み出たおいしい油にダイブさせる。じゅーじゅー。ベーコン片面に焼き目がついたころにたまごをひとつ、ベーコンの上にゆっくりと割って、落とすのではなく置く。そうすると黄身がふっくら焼けると本で読んだ。

全てが程よい焼き色になり燻製の薫りが台所いっぱいに広がったら完成。塩も胡椒もなしで、土鍋で炊いたごはんを添えていただくことにした。

 分厚いベーコンエッグにかぶりつく。カリッじゅわわわわ…。口いっぱいに燻製の薫りとお肉の旨みが広がる。その旨みたっぷりの油でカリッと揚がったじゃがいもとも最高の組み合わせ。薫りと塩気がごはんのおいしさも最高に引き立てて、ごはんをかきこんでしまう驚異のベーコン。そのおいしさは、ベーコンエッグなのにたまごが余計に感じるほどおいしい。結局食べ終わったあとに、たまごなしで同じメニューを作り直したくらい、それくらいおいしいベーコンだった。

 

その出会いは突然に。今年の2月に、初めてカフェの一部屋を借りてのワークショップを開催した。その一部屋とは自がログハウス屋さんとしてご夫婦で建てたログハウスを、2棟つかって営んでいるカフェの離れにある、建築学生たちとワークショップで建てたというコロンとかわいいツリーハウスのこと。目の前におおきく流れる深い川のほとりにデッキ付きで建てられたそのログハウスは、電気を引かず薪ストーブが備わった、木の温もりと秘密基地のようなちいさな空間が最高にここちよかった。大人が6人、きゅうきゅうになってこそこそと紙工作をするワークショップにはぴったりの会場だった。

 その際に注文して用意していただいたお弁当に一切れ、ひとくち分入っていた焼きベーコン。でもそのたったひとくちがおいしくておいしくて忘れられなかった。帰りに尋ねるとやはりログハウスの敷地内にある、これも手作りの燻製小屋で作ったと教えてくれた。

4月末。もうすぐwithコロナウイルス時代の母の日がやってくる。せっかくだから知っている方にお金を落としてプレゼントを用意したいと考えて連絡した。突然で、普段売っているわけではないにもかかわらず快く3本を売ってくれた。作り手の顔も知っている、想いも知っている。そんなベーコンをひとくち食べただけでこんなに文章を書いてしまう自分にもびっくりしたんだけど、それだけここちよい何かがあったんだと思う。

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